「最近、抜け毛が増えた気がする」「生え際や頭頂部が以前より薄く見える」と感じると、シャンプーを変えたり、育毛剤を使ったり、頭皮を強くマッサージしたりしたくなるかもしれません。
ただ、薄毛が気になったからといって、頭皮を何度も洗ったり、強く刺激したりする必要はありません。
まず意識したいのは、頭皮と髪を清潔に保ちながら、洗髪やタオルドライで必要以上の摩擦や刺激を加えないことです。
そしてもう一つ大切なのが、毎日の頭皮ケアと、男性型脱毛症(AGA)などの脱毛症に対する治療を分けて考えることです。
シャンプーや頭皮ケアは頭皮を清潔に保つために役立ちますが、それだけでAGAそのものを治療できるわけではありません。
この記事では、薄毛や抜け毛が気になり始めた男性に向けて、毎日の洗い方から育毛剤の考え方、セルフケアだけで様子を見ず医療機関へ相談したいケースまで順番に整理します。
薄毛が気になったら、まず変化の仕方を確認する
抜け毛が目立つようになると、「シャンプーが合っていないのでは?」「洗い方が悪いのでは?」と考えがちです。
しかし、髪が抜ける原因は一つではありません。
例えば男性型脱毛症(AGA)について、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、思春期以降に始まり、徐々に進行する脱毛症とされています。
男性では、前頭部や頭頂部の髪が細く短くなり、一定のパターンで薄毛が進んでいくことがあります。
そのため、「以前より生え際が後退している」「頭頂部が徐々に薄くなっている」といった変化が続いている場合は、洗い方だけを変えて長期間様子を見るのではなく、皮膚科などへ相談することも選択肢になります。
毎日の頭皮ケアでできること
日常的な頭皮ケアでは、「髪を生やすために強く刺激する」のではなく、汗や皮脂、整髪料などを洗い流し、頭皮と髪を清潔に保つことを基本に考えます。
薄毛が気になるからといって、ゴシゴシ洗う必要はありません。洗髪から乾燥まで、必要以上の摩擦や熱を加えないようにしましょう。
1.シャンプー前に髪と頭皮を濡らす
最初にシャワーで髪と頭皮を濡らします。整髪料を使用している場合も、髪の表面だけではなく頭皮までお湯が届くように流してからシャンプーへ進みます。
2.シャンプーは製品の使用方法に合わせる
シャンプーの使用量や使い方は製品によって異なります。一律に「○プッシュ」と決めるのではなく、使用している商品の表示やメーカー公式の使用方法を確認してください。
洗うときは、爪を立てて頭皮を引っかくのではなく、指の腹を使います。皮脂やベタつきが気になる場合でも、力を入れてこする必要はありません。
3.洗浄料が残らないようにすすぐ
洗った後は、シャンプーが残らないようにすすぎます。生え際、耳の後ろ、後頭部なども流し忘れがないか確認してみてください。
4.タオルで激しくこすらない
洗髪後は、タオルで髪を激しく往復させるのではなく、水分を吸わせるように拭き取ります。頭皮や髪に余計な摩擦を加えないことを意識しましょう。
5.ドライヤーで乾かす
タオルで水分を取った後は、ドライヤーを使って乾かします。同じ場所へ熱風を当て続けたり、頭皮が熱いと感じるほど近づけたりせず、ドライヤーを動かしながら乾かします。
薄毛や抜け毛が気になるときに避けたいこと
抜け毛が気になると、「何か特別なことをしなければ」と考えやすくなります。しかし、新しいケアを増やす前に、頭皮への余計な刺激を増やしていないか確認してみましょう。
- 爪を立てて頭皮を強く洗う
- 汚れや皮脂が気になるからと必要以上に何度も洗う
- タオルで髪や頭皮を激しくこする
- かゆい部分を繰り返しかく
- 頭皮が痛くなるほど強くマッサージする
- 育毛剤などを表示された使用方法以上に大量に使う
- 赤み、かゆみ、痛みなどが出ているのに同じ製品を使い続ける
特に「強く刺激すれば髪が生えやすくなる」と考えて、痛みを感じるほど頭皮をもむ必要はありません。
育毛剤とAGA治療は分けて考える
薄毛対策で混同しやすいのが、育毛剤とAGAの治療です。
医薬部外品の育毛剤には、製品ごとに育毛、発毛促進、薄毛・脱毛の予防、ふけ・かゆみの防止などの効能が表示されています。
一方、AGAの治療で使用される医薬品とは位置付けが異なります。「育毛剤を使っているからAGAの治療もできている」と同じものとして考えないことが大切です。
生え際や頭頂部の薄毛が徐々に進んでいるなど、AGAが疑われる変化がある場合は、育毛剤だけで長期間様子を見るのではなく、皮膚科などへ相談する方法があります。
育毛剤を使うなら商品ごとの使い方を確認する
育毛剤は、どの商品でも同じ量・同じ回数で使うわけではありません。使用するタイミング、量、回数、頭皮への付け方などは商品によって異なるため、購入した商品の容器表示やメーカー公式情報を確認してください。
サクセス 薬用育毛トニック
花王の「サクセス 薬用育毛トニック」は、医薬部外品の育毛トニックです。
花王では、朝や夜など1日2回程度の継続使用を案内しています。シャンプー後に使う場合は髪の水気を取り、頭皮へスプレーして、指の腹でなじませるようにマッサージします。
スプレーするときは頭皮から5~10cm程度離し、数回に分けて使用する方法が案内されています。実際に使うときは、手元の商品表示と最新のメーカー公式情報も確認してください。
MARO17 薬用発毛促進ブースター
「MARO17 薬用発毛促進ブースター」は医薬部外品で、メーカーでは発毛促進、薄毛・抜け毛予防などを案内しています。
メーカー公式の使い方では、洗髪後に頭皮・髪へ1回分として10プッシュ程度をスプレーし、頭皮・髪全体へ行き渡らせるようになじませながら、マッサージするようにもみ込む方法が案内されています。
「育毛剤なら少量だけ付ければよい」と一律に考えず、商品ごとに示されている使用方法を確認して使いましょう。
※商品はリニューアルなどによって名称、成分、使用方法、販売状況が変わる場合があります。購入・使用時は手元の商品表示とメーカー公式情報を確認してください。
こんな抜け毛・薄毛はセルフケアだけで済ませない
毎日の洗髪や頭皮ケアを見直すことはできますが、抜け毛の原因を自分だけで判断するのが難しい場合もあります。
次のような変化がある場合は、シャンプーや育毛剤だけで対応し続けず、皮膚科などへの相談を検討してください。
- 額の生え際や頭頂部の薄毛が徐々に進んでいる
- 短期間で明らかに抜け毛が増えた
- 円形など部分的に髪が抜けている
- 頭皮に強い赤み、かゆみ、痛み、腫れ、出血などがある
- フケや炎症など頭皮の異常が長く続いている
- 原因が分からず不安が続いている
特に急激な変化や頭皮の異常がある場合は、「薄毛だから」と自己判断して育毛剤だけで対応せず、原因を確認することが大切です。
AGAが気になる場合に知っておきたいこと
男性型脱毛症(AGA)は、単に頭皮が汚れていることだけで起こるものではありません。
日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、男性型脱毛症の治療として、フィナステリド内服、デュタステリド内服、ミノキシジル外用などについて、医学的根拠をもとに推奨度が示されています。
これは、毎日のシャンプーや一般的な頭皮ケアとは別に考える必要があります。
「最近薄くなった気がする」という段階では、AGAなのか別の原因なのか自分では判断しにくいこともあります。変化が続いている場合は、皮膚科などで相談してください。
また、治療薬には使用できない人や注意が必要な場合もあります。自己判断で医薬品を使用したり個人輸入したりするのではなく、医師や薬剤師などの専門家へ相談しましょう。
よくある質問
毎日シャンプーすると抜け毛が増えますか?
洗髪すると抜けた髪が手や排水口に集まるため、「シャンプーをしたから髪が抜けた」と感じることがあります。
抜け毛が気になる場合も、回数だけで判断するのではなく、頭皮の状態や使用している商品の説明に合わせて清潔を保ち、強くこすらないことを意識してください。
抜け毛が気になるならシャンプーを使わない方がいいですか?
抜け毛が気になるという理由だけで、自己判断でシャンプーを完全にやめる必要はありません。
汗や皮脂、整髪料などを洗い流して頭皮と髪を清潔に保つことも日常的なケアの一つです。
使用後に強いかゆみや赤み、刺激などが出る場合は、その製品の使用を続けず、必要に応じて医療機関へ相談してください。
頭皮を強くマッサージすると髪が生えますか?
「強くもめば髪が生える」と考えて、痛みを感じるほど頭皮へ力を加える必要はありません。
使用している育毛剤などでメーカーがマッサージ方法を案内している場合は、その使用方法を確認して行いましょう。
育毛剤と発毛剤は同じですか?
同じものではありません。
医薬部外品の育毛剤と、発毛を目的とする医薬品では位置付けが異なります。例えば、ミノキシジルを有効成分とする一般用の発毛剤には第1類医薬品として販売されているものがあります。
商品を選ぶときは、「育毛」「発毛」という言葉だけを見るのではなく、「医薬部外品」「第1類医薬品」などの表示や、その商品に認められている効能・使用方法を確認してください。
どのくらい抜けたら病院へ行くべきですか?
抜け毛の本数だけで、受診が必要かどうかを一律に決めることはできません。
生え際や頭頂部が徐々に薄くなる、短期間で急に抜け毛が増える、円形に抜ける、頭皮に強い赤みや痛みがあるなど、変化の仕方や頭皮の状態も確認したいポイントです。
原因が分からず不安が続いている場合も、自己判断だけで長期間様子を見ず、皮膚科などへ相談してください。
まとめ|頭皮ケアと薄毛治療を分けて考える
薄毛や抜け毛が気になり始めたら、特別なケアを次々と増やす前に、まず毎日の洗髪や乾かし方を確認してみましょう。
- 頭皮と髪を清潔に保つ
- 爪を立てたり強くこすったりしない
- タオルドライでも必要以上の摩擦を加えない
- シャンプーや育毛剤は商品ごとの使用方法を確認する
- 育毛剤とAGA治療を同じものと考えない
- 生え際や頭頂部の薄毛が徐々に進む場合は医療機関への相談も考える
- 急な脱毛や強い頭皮症状がある場合はセルフケアだけで済ませない
毎日の頭皮ケアでできることと、医療機関で原因を確認した方がよいことを分けて考えると、「何を自分で行い、どこから相談すればよいのか」が整理しやすくなります。

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